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1: インドネシアの1日の死者数が世界最多に (写真・墓地を埋め尽くす新しい墓の列)  
7月下旬の時点で新型コロナの新規感染者数が1日に5万人前後のペースで増え、今や感染拡大の新たな震源地になったインドネシア。
7月27日には1日の死者が2000人を超え、世界最多になってしまった。

世界第4位の人口を抱えるインドネシアは、政府も国民もこの第2波への対応に苦慮している。
優先順位の対立、ワクチン供給の遅れ、都市封鎖、その他様々な問題が、危機的状況を作り出している。

専門家は、今後状況はさらに悪化するだろうと警戒する。


変異したデルタ株が猛威を振るうなか、報告されている感染者数は実際の数を大きく下回っているとする見方が多い。
検査の陽性率は27%を超えており、検査を受けず、陽性であることに気付かないで生活している感染者もかなりの数に上るであろうことを示している。

医療は全国的に逼迫している。先週にはジャワ島で病床と酸素が足りなくなり、今週にはバリ島でも同様の事態に陥った。
ジャカルタの病院では、病床使用率が73%にまで上昇した。

7月前半だけで114人の医師が新型コロナに感染して死亡し、パンデミックが始まって以来1500人の医療従事者が命を落としている。

現在、同国の新型コロナと診断された例の致死率は2.7%だが、この先医療インフラが整っていない地方へも感染が拡大すれば、その数字は上昇するとみられている。


インドネシアの人口およそ2億7000万人のうち、7月下旬までにワクチンの接種を済ませたのはわずか6%にとどまっていた。

政府の強い働きかけで新たに約87万4000回分のワクチンが接種され、8月からは1日200万回分を接種することを目標としている。
とはいえ、国産ワクチンがないインドネシアは、国外からの供給に頼るしかない。

ワクチンの供給開始が遅れたことに加え、最も弱い立場に置かれている国民の多くは、いまだに検査を受けることもままならない。
症状が出ている人や濃厚接触者は無料で検査を受けられるが、そうでない場合、PCR検査は日本円で6500円以上かかる。

1カ月の賃金が2万2000円以下という平均的な労働者には、簡単に出せる金額ではない。
陽性と判定されれば、仕事にも影響が出て、経済的苦境に立たされるという不安がある。

政府の発表では、7月28日までの新型コロナによる死者数は8万8659人となっているが、
国内のコロナ情報の収集と共有を行う共同体「ラポール・コビッド」の共同創立者イルマ・ヒダヤナ氏は、実際の数はそれよりもはるかに多いはずだと考えている。

150人のボランティアとともに180の町と34の州からデータを集めているヒダヤナ氏は、
州や地方自治体レベルで報告されている死者数と照らし合わせると中央政府の数字はかなり低く、2万人以上の死が「消えている」と話す。

「国民が正しい情報を受け取っていないことが、感染急拡大の原因です。ウイルスがどのように広がるのか、
それがどれだけ危険なものなのかを理解していないので、公衆衛生対策に従おうとしないのです」
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